大手仮想通貨取引所のバイナンスが、有名ファッション誌「VOGUE(ヴォーグ)」等を顧客に持つ出版社「Media Publishers」とパートナーシップを締結したことを発表した。このパートナーシップは、Media Publishersがファッションやアート、音楽に特化したNFTプラットフォームを構築するのをバイナンスが支援するためのもののようだ。プラットフォームのローンチは、2021年第3四半期(7~9月)中とのことだ。
Media Publishersは先週、ブロックチェーン技術を活用した動画広告事業を展開するVidy社と提携してNFTプラットフォームを構築することを発表しており、今回新たにバイナンスが加わることとなる。
バイナンスのNFT部門トップのHelen Hai氏は「アートとテクノロジーの想像力を解放し、クリエイティビティの価値を最大化し、ファッション業界の成長を加速させるプラットフォームを私たちは作ることができる」と述べた。
また、VidyのファウンダーであるMatthew Lim氏は、「メタバース(仮想現実)の普及により人々は、現実世界と仮想世界の両方で生活するようになり、人々は仮想現実内でアイデンティティを確立し、現実世界と同様に独自の資産を保有するという意味でものを購入することができる」と述べた。
Vidyは、同社が配信する動画広告をみたユーザーに独自トークンを付与するという事業を展開しており、ファッションメディア「ELLE China」、ニュースメディアの「CNN Indonesia」や「CNBC Indonesia」等と提携し、注目を集めている。
ファッション業界におけるNFT活用
最近、メタバース(仮想空間)内での活用や自身の写真の衣類を着せ替えることを想定したデジタルファッション市場が成長しつつある。
今月4月はじめにVogue Business誌で報道された内容によると、グッチ(GUCCI)らの複数のラグジュアリーブランドがNFTをリリース予定とのこと。
また、デジタルファッションハウスのザ・ファブリカント(The Fabricant)が、2019年のイーサリアムカンファレンスにて、デジタル限定の高級服「Iridescence Dress」のNFTをオークションに出品し、1万ドルに迫る金額で落札されたという事例もある。「Iridescence Dress」は、ザ・ファブリカントとNFTを活用したブロックチェーンゲームで有名なクリプトキティーズ(CryptoKitties)のコラボレーションで誕生した。このコラボレーションは、クリプトキティーズ側がザ・ファブリカントにブロックチェーン上で販売できるドレスのデザインを打診したという。
ただし、ファッション業界におけるNFTの活用は、実用性が伴うかどうかという点や、ブランド価値が担保されるのか不明という点など、未検証な部分も多い。
これら未知の領域がどのように開拓されていくか、今後の動向には注目が集まるだろう。