Twitter創業者のジャック・ドーシー氏のツイートが291万5835ドル(約3億1640万円)で落札されたり、デジタルアーティストであるBeeple氏のNFT作品が6900万ドル(約75億円)で落札されたりと、最近話題がつきないNFT業界。
このようなニュースを見かけることはあるが、NFTとは一体何で、なぜここまで注目が集まっているのか疑問を持つ人もまだ多いのではないだろうか?
そこで今回は、NFTそのものの解説から注目を集めている理由、そして今後の動向について解説していく。
NFTとは?
NFTは、Non-Fungible Tokenの頭文字をとったものであり、ここからそれぞれの言葉を解説していく。
まずトークンとは、様々な使われ方をするが、NFTを理解する上ではブロックチェーンというネットワーク内で発行される通貨のようなものであり、自分がそれを所有することで何かしら価値あるものを保有していることを証明できると理解しておけば問題ないでしょう。
次に、Non-Fungibleという言葉であるが、直訳すると「代替不可能」という意味になる。これは、意味をそのまま理解しようと思っても難しいので、1万円というお金を例に用いながら説明する。
まず、あなたが1万円札を持っていたとする。そして、その1万円札を誰かの1万円札と交換したとする。この場合、あなたが保有している価値は同じである。
次に、あなたがその1万円札を使って、好きなアイドルが自分あてのサインを書き入れてくれた写真集を買ったとする。そして、自分の友達もそのアイドルが好きで、同じく1万円でその友達あてのサインが入った写真集を買ったとする。その後、友達と写真集を交換したとすると、交換した写真集は同じ1万円で購入したものであるにも関わらず、友達あてのサイン入りのものなので、あなたにとって価値は減少したものとなる。つまり、この写真集は同じ1万円で購入したものにも関わらず、他のものでは補えない”代替不可能”なものなのである。
このように希少性があり、他の類似品では補えないことを「代替不可能」と呼ぶ。
以上からNFT(Non-Fungibel Token)とは、ブロックチェーンというネットワーク内(デジタル空間内)に存在する、唯一無二の価値を証明するものと理解しておけばいいでしょう。
NFTってなんで注目を集めているの?何がすごいの?
それで、なぜNFTがこんなに注目を集めているかというと、デジタルの世界で唯一無二の価値の保有を証明でき、デジタル上でアートや音楽などのコンテンツの取引ができるようになったからだ。
今までは、デジタル上でアート作品を購入して、そのアート作品のファイルなどを受け取ったとしても、そのファイルが複製されてインターネット上に出回れば、自分がオリジナルを所有していると証明できなかった。
しかしNFTによって、例え複製がインターネット上に出回ったとしても、購入者が正当にオリジナルの所有権を証明できるようになり、デジタルコンテンツを購入する意味が大きく変わった。
もう少しわかりやすく説明すると、モナリザは誰でもその写真をネットで見ることはできるが、オリジナルのモナリザを誰もが<b>所有</b>できるわけではなく、所有できるのはオリジナルのモナリザを手元に保管している唯一人だ。このことをデジタル上で再現したのがNFTなのである。
このようにして、デジタルコンテンツの所有を証明できるようになったことで、そのコンテンツに対してお金を払う新たな意味が生まれ、取引が加速される。
だから現在、多数のデジタルコンテンツに高値が付けられて取引されており、NFTに注目が集まっているのである。
今後どうなる?
さて、気になる今後の動向であるが、デジタル上で所有が証明できるようになったとはいえ、所有する意味についてはまだまだ疑問が多いのではないだろうか?
先の例のモナリザであれば、所有して披露するということも可能であるが、NFT作品においてはそのようなことはまだ難しい。
そのような状況下なので、現状はブームとあいまってバブル的な様相を呈していると考えられる。
しかし今後、VR空間内などで作品を披露することができるような世界が到来すれば、デジタルコンテンツの所有の意味がより明確になり、今とは比べものにならない熱狂が生まれるのではないだろうか。
このような未来あるテクノロジーであるからこそ、NFTは現在も今後も注目を集めるであろう。